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麻酔科医、精神科医らの証言-乳腺外科医裁判判決文の詳報◆Vol.3

レポート 2019年3月5日 (火)  高橋直純(m3.com編集部)

自身が執刀した女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴された男性外科医に対する裁判で、東京地裁(大川隆男裁判長)は2月20日、男性外科医に無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。判決文を7回に分けて掲載する。 東京地検は3月5日、無罪とした一審・東京地裁判決を不服として控訴した。 Vol.1 「主要事実レベルの争点は事件性である」 Vol.2 麻酔覚醒時のせん妄の影響の有無及び程度 Vol.3 麻酔科医、精神科医らの証言 Vol.4 アミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定の信用性等に対する判断 Vol.5 DNAが被害女性の左乳首付近に付着する可能性 Vol.6 検査者としての科捜研研究員の誠実性 Vol.7 「合理的な疑いを差し挟む余地がある」 ウ 麻酔学の見地からの意見等 上記アで認定した事実を前提に、Aに麻酔覚醒時のせん妄の影響がなかったかを検討する。 まず、麻酔学の見地からの意見をみてみる。 (ア) 弁護側証人として出廷した、麻酔学や集中治療等の専門家で帝京大学名誉教授等でもある福家伸夫医師は、「せん妄は急性で変動性の意識障害である。乳房手術もせん妄の危険因子...