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「苦しむ人々の声を聴く」が最も困難な義務、山本和利・札幌医大教授

レポート 2019年3月4日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

札幌医科大学医学部医学科の臨床医学部門地域医療総合医学講座教授を務める山本和利氏の最終講義が3月1日、「地域医療総合医学講座の研究 総合診療科の診療」をテーマに同大で開催された。 山本氏は、1999年2月に開設された同講座の初代教授で、20年にわたり、総合診療医の育成に努めてきたほか、札幌医大の医学教育改革にも取り組んできた。最終講義では、総合診療分野で同大勤務以前から取り組んできた研究のほか、「総合診療科が何をやっているのか、まだ知らない方も多い」と前置きし、症例を交えながら、総合診療の理論、基本的な考え方などを紹介。 「人間存在としての私たちが負う最も困難な義務のひとつは、苦しむ人々の声を聴くことである」 「患者と出会ったその人の生きる姿勢が問われている」 こう語る山本氏は、患者の話を聴く大切さを随所で強調。患者の感じている「illness(病感)」と「disease(疾病)」を並行して探ることが、全人的な医療につながると指摘した。 「最初の10年は若さで乗り切ってきたが、後半の10年はなかなか人が集まらなかった」と苦労も吐露した。自らの経験を踏まえ、「若者へのメッセージ」として次...