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大学の研究力低下、二つの“荒波”が原因【平成の医療史30年◆大学編】

スペシャル企画 2019年3月22日 (金)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

臨床、教育、研究――。これら3本柱を担い、医療をけん引している大学医学部とその付属病院。平成の時代を振り返ると、論文数が伸び悩むなど、日本の大学の相対的な研究力低下が指摘されている(『2000年代以降、科学立国の危機に』を参照)。2007年度から4カ年にわたり東京大学医学部長を務めた清水孝雄氏は、1990年代に進んだ大学院重点化のほか、国立大学については2004年度の法人化による運営費交付金削減という、二つの“荒波”がその原因と見る。清水氏に、大学を取り巻く研究環境がこの30年間にどのように変わったのか、お聞きした(2019年1月7日にインタビュー。全2回の連載)。 ――大学の研究環境を変えた一つが、1990年代に進められた大学院重点化かと思います。 清水孝雄氏は、国立大学の研究力低下の一番の要因は、2004年度の国立大学の法人化にあるとみる。 一般論ですが、大学院重点化には、二つの大きな問題があると思います。一つは、定員を増やしすぎたこと。大学院生の定員を学部生の1.5倍程度に設定し、全国的には重点化前の2.5倍になりましたが、教員の増員はなかったため、教員一人当たりの仕事は増えたた...