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アナフィラキシーには「オッサン筋注」か?エピペンか?

レポート 2019年4月7日 (日)  志賀隆(国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長)

2015年に大阪府高石市の病院で当直を務めていた非常勤医師がアナフィラキシーの治療で適正量の2倍を超えるアドレナリンを点滴静注で投与した結果、患者さんが亡くなってしまったという報道が今月初旬にありました。救急対応をある程度は経験した医師からすると「アドレナリンの点滴を最初から?」「本当?」と思うところもありますが、「餅屋は餅屋」であり、それは医師の専門性にも言えること。アナフィラキシーの対応を随分していない場合や、疲労が蓄積している状態で緊急時対応を担った際などは、起こり得るとも思います。そこで今回は、アナフィラキシーの初期対応について、医療安全の視点から提案も含めて書いてみたいと思います。キーワードは「短期記憶の低下」と「制約の原則」です。 ●短期記憶の低下はいつ誰に起こるのか? まず短期記憶についてですが、知的能力の高い人の特徴は短期記憶が優れていると言われています。医学部受験を乗り越え、医学部6年間を闘い、国試受験に合格した医師のほとんどは短期記憶が優れていると言えるでしょう。ただ、これには問題点があります。この短期記憶というのは、 ・急いでいる ・緊迫している ・課題がとても多...