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1999年以降、医療事故が刑事事件化【平成の医療史30年◆医療事故編】

スペシャル企画 2019年5月26日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

医療事故の平成時代の“元年”と言えるのは、1999年。1月の横浜市立大学の“患者取り違え事故”、2月の都立広尾病院での“消毒薬の誤投与事故”、7月の杏林大学の“割りばし事故”――。相次いで起きた3件の事故は、いずれも刑事事件に発展。医療事故が民事責任だけでなく、刑事責任を問われる時代になり、社会的にも大きな関心を集めるようになった。 広尾病院事件では、院長が医師法21条違反に問われたこともあり、その後、警察への医療事故等の届出件数は急増。しかし、福島県立大野病院事件の医師逮捕、そして2008年8月の無罪判決で、届出件数は減少傾向に。民事裁判も減少に転じている。 では、医療事故が刑事、民事事件化する動きは今後、どうなるのだろうか。カギを握るのは、医療機関、そこで働く医療者が医療事故とどう向き合い、医療安全にどう取り組んでいくかだ。この分野の第一人者である、大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部部長の中島和江氏へのインタビューを併せて掲載する(全5回の連載)。 警察への届出、ピーク時の5分の1 医療事故が刑事事件化する端緒の一つが、医療機関あるいは遺族等からの警察への届出だ。警...