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医療安全、「美味しいスープ」づくりに等しい【平成の医療史30年◆医療事故編】

スペシャル企画 2019年6月8日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――「医療安全は、失敗のないこと」という発想からの転換が必要とのことですが、阪大病院の場合、どんなデータを見ておられるのでしょうか。 それは一つではありません。さまざまな情報を基に、頭の中で「医療安全の状況」を想像しています。インシデントレポートの内容や傾向はもちろんですが、医療安全に関する臨床評価指標もあります。手術安全チェックリスト使用率、内視鏡治療時の気道リスク評価率や、画像診断レポートの重要所見の確認率などをモニターしています。これらは100%を目指していますが、そうならない場合には、「決められた通りにやってください(計画やルール)」ではなく、「なぜ決められた通りにできないのか(現実)」を、現場をラウンドしたり、現場の人たちと話をして理解し、このギャップを埋める対策を考えます。 「失敗」ではなく、普段、現場でどのように業務がなされているのかを知るのには、院内ラウンドがとても有用です。さらに、現場の人たちとの世間話や、病院長ヒアリングで各部署から出される要望は、さまざまな「擾乱」や「制約」を理解するのにとても役に立ちます。平均在院日数、病床稼働率をはじめとする病院全体や各診療科の...