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「つながり、共創、イノベーション」がカギ【平成の医療史30年◆医療事故編】

スペシャル企画 2019年6月15日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――では、医療事故に対する患者や国民、メディアの見方や理解は、この10~20年、変化しているとお考えですか。 2000年の初めの頃は、医療バッシングの嵐でした。医療事故が発生した際、医療機関は患者さんや家族への説明、記者会見を通じた公表、警察への届出、監督官庁への報告、医療事故調査の実施、医療者個人の刑事責任の追及などについて、どのように行動すればいいのかが分からず、混迷を極めた時代です。 その後、医師不足、医療者の過酷な勤務環境、医療事故のリスクに対する不安、医療事故当事者への激しい批判等から、“医療崩壊”が現実のものとなりました。その一方で、刑事裁判で被告となった医療者の無罪判決が続きました。この間、医療者や医療機関は、インシデントや有害事象について患者さんや家族にきちんと説明し、社会に対しても一定の公表基準に基づきディスクロージャーすることが定着してきました。患者さんらの自主的な取り組みによる「医療を守る会」なども設立されました。医療事故の報道件数も以前に比べて減り、個人ではなくシステムに内在する問題を指摘する内容も見られます。しかし、我々が今、とても困難な課題に直面していること...