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「致死率0.4%」の衝撃と水際対策で手にした「2週間」【平成の医療史30年◆新型インフル編】

スペシャル企画 2019年4月26日 (金)  大西裕康(m3.com編集部)

――感染症対策については、完全に抑え込むのが不可能なのであれば、そもそも必要なのかという議論にもなります。 感染症の対策には、「そこまでしてでも抑え込む必要があるのか」という疑問が常についてきます。最近だと、麻疹や風疹の流行があり、免疫が不十分な人たちへのワクチン接種が呼びかけられました。でも、ほとんどの人にとっては重大な感染症とは言えません。乳幼児や妊婦などハイリスク者は限られています。「だったら自分は関係ないじゃないか」と人々が考えるようになった時、これが感染症にとっては一番都合がいい状況なんですね。こうして、エイズも広がっていきました。逆に、皆の問題として社会が認識して、対策に取り組んだ結果、多くの先進国で新規の感染者は減っていきました。麻疹も風疹もエイズも、そしてインフルエンザも、完全に抑え込むことは不可能かもしれません。でも、ハイリスク者を守り、社会機能を維持するためにも対策は必要なのです。 問題は、どこまでやるか……ということでしょう。私は、厚労省在職中だった2008年に感染症法の改正に携わりました。この時、しみじみ思ったんですが、感染症法ほど憲法に挑戦している法律はありま...