新興感染症対策の基礎は「日常的な上気道炎」の診療【平成の医療史30年◆新型インフル編】
スペシャル企画
2019年4月29日 (月)
大西裕康(m3.com編集部)
――厚労省への批判に「現場を知らない」というものがありますね。現場から来た臨床医としての葛藤などはありましたか。 行政の仕事をしてみれば分かることですが、現場を知らないこと自体は問題ではありません。むしろ、自分の現場感覚を持ち込むべきではないのです。確かに、私は臨床医としての現場経験を持っていました。でも、それはしょせん私の現場でしかなくて、全体には通用しないんですよ。 「厚労省は現場を知らない」と言われる時の現場って何かというと、保健所の現場であり、市町村の現場であり、基幹病院の現場であり、あるいはビルクリニックの現場であり、さまざまな現場なんです。だから、危ないのは自分なりの現場感覚で、それが「現場の全てだ」と誤解してしまうこと。一番大事なのは、自分は現場を知らないと気づくことなんです。 ただ、現場の人たちとコミュニケーションするためのボキャブラリーはある。私が現場で培った体験的ボキャブラリーがある。「あ、そういうことが起きているんですね」ということが分かる耳を持っている。これが大切なんです。これらを駆使して現場と現場をつないで、日本の中で何が起きているのか、どうしていったらいいの...
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