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ITやロボットの活用で技術の汎用化を - 佐久間一郎・東大工学部教授に聞く◆Vol.2

インタビュー 2019年5月30日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――「未来イノベーションワーキンググループ」(WG)の議論を通じて、ロボット、IoT、ICT、AI(人工知能)などの技術を使用して、もっと根本的なところから問題解決ができないか、と考えるようになったとのことです。 医療に関する多くの統計は「死因」をベースにしています。研究費関連の予算も、がんなどに手厚く配分されています。しかし、研究対象は死亡につながる疾患に限りません。例えば脳卒中を挙げると、以前よりも致死率は低下していますが、後遺症が残るとQOLは低下、それが生物学的寿命と健康寿命の差につながり、社会的に大きな負担になっています。それをどう縮小させるかを考える視点が手薄です。 ペースメーカーにICT機器を付け、心房細動の状態をモニタし、適切な投薬治療等を行うことで、心房細動に伴う血栓発生による脳梗塞を未然に防ぐことができるようになっています。このような連続モニタリングにより疾病の兆候を早期に発見し、適切な医療を提供することで疾病の重症化予防につながると考えられます。しかしほとんど正常な信号から、わずかな異常を見つけるということは、症状が悪化した疾患を見つけるよりもはるかに難しい課題で...