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産業医の苦労は紹介先探し、一度きりで終わったことも

オピニオン 2019年5月26日 (日)  神田橋宏治(医師、DB-SeeD社長)

さて9回目です。産業医をやっていて悩ましいのが紹介先の問題です。従業員を医療機関に紹介するのにはいくつかパターンがありますが、 1.会社の定期健康診断の結果が悪いので受診させる場合 2.メンタル疾患の相談が来て病院を受診させる場合 3.何か大病が見付かったか、何らかの体調不良があり、どこかいい病院を紹介してほしいという場合 などが主です。 3.の場合はここでは触れませんが、1、2の場合に問題になるのが、紹介先をどこにしようかという問題です。かかりつけ医がいるならそこでいいのですが、かかりつけ医がいなかったりすると頭を悩ませることになります。なるべく時間的、経済的負担が少なく、的確な治療をしてくださる医療機関を探すのも産業医の仕事です。なぜならば産業医自ら治療を行うことはできないからです。これは定期健康診断だと糖尿病、高血圧、高脂血症などですし、メンタルの問題だとうつ状態、適応障害(そして背後の特性としての発達障害、パーソナリティ障害)などです。 例えばこんな例がありました(以下、従業員の内容は本質を変えない程度に改編しています)。40代で軽度の肥満、糖尿病が疑われる従業員を紹介しようと...