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女性医師がカギ!救急専門医倍増私案

オピニオン 2019年8月2日 (金)  志賀隆(国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長)

7月の暑い土曜日午後のことでした。自転車に乗っていた45歳の加藤さん(仮名)は道路の段差につまずいて自転車から放り出された。加藤さんは額から血を流し、右手はフォークのように変形しています。親切な通りがかりの見知らぬ人が、痛みに苦しむ加藤さんのために救急搬送の要請をしてくれました。5分も経たないうちに救急車が到着。救急隊は迅速に加藤さんの外傷を評価しました。問題はそこからでした。加藤さんは救急車内に迅速に移動されましたが、救急車が出発できないのです。なぜなのでしょうか。 救急隊の評価では、加藤さんは「受け入れ困難事例」に該当するからです。加藤さんの場合、「前額の裂創、頭部外傷、右手の変形」という3つの問題に対応する必要がありました。土曜日の午後はほとんどの病院では時間外体制になります。勤務医でも働き方改革が進み、複数の医師が日当直することは年々難しい状態です。脳外科、整形外科、形成外科の3科対応が可能な当直体制を敷いている病院はほとんどないのです。そのため、受け入れは難渋したのでした。結局、加藤さんは現場から15㎞離れたER型の救急を標榜する別の県の病院に搬送されました。 加藤さんのよう...