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将来は「医療費の総予算制」もあり得るか - 田倉智之・東大特任教授に聞く◆Vol.3

インタビュー 2019年8月24日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――医療保険財源が潤沢ではない時代には、安全性と有効性が証明された治療法であっても、どこまで医療保険でカバーするのか、という議論もありますか。 今の医療保険制度では、医療費を保険料や税金により国民が負担していますが、通常の商取引とは異なり、受療者は自分が得られる受益に対して、全てを直接負担をしているわけではありません。一般財源から公費も入っており、社会保障の収支も悪化しているので、保険という特性を考慮しても、受益と負担のバランスの悪い可能性があります。従って、そのバランスを一度、「棚卸し」をする必要もあるでしょう。その場合、費用対効果評価の視点も必要になるかもしれません。 海外の話となりますが、例えば1QALY当たりの費用が極端に高い場合には、1QALY当たりの評価基準までは保険で給付しても、それを超えるような場合は、メーカーが補填したり、患者さんが自己負担するケースもあるようです。現在のところ、わが国の制度でこのような議論は考えにくいですが、医療システムの実情にそって負担の仕組みを継続的に検討していく必要性はあるでしょう。 費用対効果や医療費を適正に使うことに対する、若いドクターの意...