1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 彫り師のタトゥー、医師法違反に当たるか?

彫り師のタトゥー、医師法違反に当たるか?

オピニオン 2019年10月6日 (日)  中野丈・スプリング法律事務所弁護士

【質問】 医師でない者(彫り師)がタトゥーを施すことが争われた裁判のニュースを見ました。医師でない者がタトゥーを施すことにはどのような法律問題があるのでしょうか。また、そもそも違法かどうかはどのような基準で判断されるのでしょうか。患者の方に尋ねられたりもしましたし、医師の業務に関する基本事項のようにも思えるので、理解しておきたいです。 【解説】 1.裁判の争点~タトゥー施術が「医行為」に当たるか ご質問の裁判は、医師でない者がタトゥー施術を行っていたことが医師法に違反するものとして起訴された、刑事事件の裁判です。第1審の大阪地方裁判所は、タトゥー施術の実施者(被告人)に対し、平成29年(2017年)9月27日に有罪判決を下しましたが、第2審の大阪高等裁判所は、平成30年(2018年)11月14日に無罪判決を下しており、現在、最高裁判所に上告されています。 医師法は、医師以外の者が「医業」を行うことを禁止し(17条・医業独占)、これに違反した場合の刑罰を定めています(31条)。「医業」とは「医行為」を業として行うことを指すと解されていますので、本裁判では、タトゥー施術が「医行為」に当たる...