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33歳男性医師の過労死、1億6700万円の賠償命令 -長崎地裁判決◆Vol.1

レポート 2019年9月2日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

長崎みなとメディカルセンター心臓血管内科に勤務する医師(当時33)が2014年12月18日、内因性心臓死で死亡したのは、過重な労働が原因であるとして、安全配慮義務違反を理由として、同センターを運営する地方独立行政法人長崎市立病院機構に対し、遺族が損害賠償と未払いの時間外労働の割増賃金を求めた事案で、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)は2019年5月27日、同機構に対し、計約1億6700万円の支払いを命じた。 長崎地裁は、医師の時間外労働時間は、死亡の2~6カ月前は月平均177.3時間に上り、直前1カ月は159時間で、7月26日から10月17日には84日連続で働いていたなどとし、「相当程度の精神的緊張を伴う業務を深夜にわたって行うことを余儀なくされるなど過重なものであった」、「発症前6カ月間の長期にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められる」と判断した。 同機構は、医師は業務遂行につき広範な裁量を有している上、当該医師は死亡直前にアルコールを過剰摂取していたことから少なくとも35%の過失相殺が認められるべきだと主張したが、長崎地裁はこの主張を退けた。 判決を不服とし...