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産婦人科医の過労自殺、行政訴訟で労災認定◆Vol.1

レポート 2019年9月24日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

広島地裁(高島義行裁判長)は5月29日、中国地方の僻地にある約300床の病院に勤務していた、50代の男性産婦人科医が2009年に自殺したのは、労災であると認定し、労災を認めなかった国の決定を取り消した。医師の妻が2011年に労災申請をしたが、不支給とされ、その後、審査請求が棄却、再審査請求も難しいと判断し、2013年11月に行政訴訟を提起していた。国は控訴せず、広島地裁判決は確定した。 行政訴訟の代理人を務めた弁護士の岩城穣氏に、裁判の経緯、行政訴訟で勝訴したポイントのほか、最近の過労死の労災認定等をめぐる動向などについてお聞きした(2019年8月5日にインタビュー。全5回の連載)。 Vol.1では、岩城氏がまとめた「事案の概要」等と、計105ページに上る広島地裁判決の中から「まとめ」部分の抜粋を紹介する。 岩城穣弁護士のまとめ ◆事案の概要 ・被災者は、医師として約25年の経験を有する50代の男性産婦人科医。 ・死亡する約10年前から僻地にある産婦人科医が2人しかいない病床数約300床程度の総合病院で、産婦人科部長を務めていた。 ・未明に病院内にある医師住宅のガレージにて縊死したもの...