ニセ医学に勝てる武器「物語に裏打ちされた科学」－病理医ヤンデル（札幌厚生病院病理診断科・市原真氏）◆Vol.2

編集部：中山先生は『医者の本音』『がん外科医の本音』、市原先生は『Dr. ヤンデルの病院選び 〜ヤムリエの作法〜』などの一般向けの著書も出されていますね。どのようなお考えで、一般向けの書籍を書くようになったのでしょうか。 市原：ぼくはSNSでのコミュニケーションを楽しむ延長で、ありがたいことに執筆の機会をいただきました。ぼくが自身の役割と考えていることは、情報の「ハブ」になること。『Dr. ヤンデルの病院選び』も、ぼくが情報源になりたいというより、他の情報に効率良く飛ぶにはどうしたらいいかということを届けたいと思って書いています。 中山：なるほど。確かにそうですよね。 市原：情報発信について考えるとき、つい、「選ばれた発信者」の周りに情報の受信者（一般の人）が集まってくるようなイメージを抱きがちです。しかし、今の時代は、おそらく受信者よりも発信者の方が多いです。情報はどんどんマニアックになっていきます。一般の人はSNSなどを用いて、多彩でマニアックな情報を自分で選びとります。 どれだけ正しい情報を発信したとしても、たくさんある情報の一つにしかすぎない。だからこそ、発信者と受信者との間に...