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再生医療・臨床研究と倫理審査委員会の法的責任

オピニオン 2019年11月2日 (土)  大西達夫・MLIP(エムリップ)経営法律事務所弁護士

【質問】大学病院で実施している適応外の再生医療等製品を使用するがん免疫療法の臨床研究において、患者の死亡事故が発生しました。死亡した患者は学内の倫理審査委員会で承認されたプロトコル(研究計画)の対象患者の年齢層のちょうど上限の高齢患者でした。死亡した患者の遺族は、手術を実施した医師、病院を開設している学校法人のほか、プロトコルを承認した大学の倫理審査委員会の各委員にも損害賠償責任があると主張しています。 【解説】 Q1.臨床研究や再生医療に関する法規制にはどのようなものがありますか。 臨床研究については、我が国ではもともと医師・研究者の倫理規範(ヘルシンキ宣言等)による自律に委ねられ、専ら厚生労働省が示した臨床研究に関する倫理指針等の行政や学会が示すガイドラインによる手続に服するのみでした。しかし、臨床研究の結果の信頼性や利益相反が問題となったディオバン事件等を契機に、2017(平成29)年、臨床研究法が制定されました(2018年4月から施行)。同法では、「特定臨床研究」(製薬企業の資金提供等、又は未承認・適応外医薬品等の使用のある臨床研究)について、臨床研究実施基準(研究のモニタリン...