1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. ヒトiPS細胞から肝胆膵を同時に作製、医科歯科大・武部氏ら

ヒトiPS細胞から肝胆膵を同時に作製、医科歯科大・武部氏ら

レポート 2019年9月26日 (木)  長倉克枝(m3.com編集部)

東京医科歯科大学教授の武部貴則氏らの研究グループは、ヒトiPS細胞から肝胆膵を同時に発生させることに成功したと発表した。ヒトiPS細胞から連続した複数の臓器を同時発生することに成功したのは世界初という。実際の生体に近い連続した複数の臓器を同時移植することで、移植後の長期定着につなげることができるようになるという。米シンシナティ小児病院との共同研究成果で、論文は9月25日(英国時間)に英科学誌ネイチャー(オンライン版)に掲載された。 記者会見で質疑応答に臨む武部貴則氏 肝胆膵領域を構成する多臓器は、受精後8週前後に形成される前腸と中腸の境界領域から発生する。そこで研究チームではヒトiPS細胞から前腸と中腸をそれぞれ誘導した上で、それらを連結させ、前腸と中腸の境界領域を作製した。その結果、その境界領域から肝胆膵の前駆細胞が自発的に誘導され、連続的な肝胆膵をつくることができた。培養条件は、酸素供給量を高くするために気体と液体の境界面で培養したのが特徴という。 今回の研究によるヒトiPS細胞から肝胆膵領域が発生する様子を解説したCG動画(提供:東京医科歯科大学) iPS細胞から臓器を発生させる...