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起こるのは「医療崩壊」ではなく「病院崩壊」 - 広井良典・京都大学こころの未来研究センター教授に聞く◆Vol.3

インタビュー 2019年10月24日 (木)  長倉克枝(m3.com編集部)

――人口減少社会での医療の在り方はいかがでしょうか。 日本政府の1000兆円を超える「借金」の中で、医療は相当の比重を占めています。日本の国家予算は約100兆円でそのうち約24兆円は国債費ですが(2019年度)、それ以外の予算の中で医療費は16兆~17兆円ほどを占めています。日本の医療は低い医療費負担で高い水準を実現している、パフォーマンスが高いと言われてきました。それは事実で、確かに良い面ではありますが、その諸外国と比べて比較的低い医療費のための税金も国民は支払っておらず、将来世代に先送りしています。加えて、今は高齢者の医療費が医療費全体の6割くらいですが、高齢化のピークの2060年頃には8割近くになります。世代間の配分という意味でも、若い世代が高齢者の医療費を負担するという構造がさらに強まります。 これらは医療現場の方の責任ということではないのですが、その点を踏まえた上で、医師をはじめとする医療従事者の方にはやはり持続可能な医療とは何かという点を意識して欲しいと思います。 ――『人口減少社会のデザイン』の第5章「医療への新たな視点」でも、昨年刊行された先生の前著の『持続可能な医療』...