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児童虐待、「医学的証拠が重要」大阪地検刑事部長が訴え

レポート 2019年10月15日 (火)  小川洋輔(m3.com編集部)

悲惨な虐待事件から子供たちを守るために医師ができることは何か――。数々の児童虐待事件の捜査に携わってきた大阪地検刑事部長の宮地佐都季氏が10月2日、第47回日本救急医学会総会・学術集会で講演し、「虐待事件の捜査・立証では初期対応が極めて重要だ。多機関の連携によって知恵を出し合い、迅速かつ的確な捜査を遂げ、真相を明らかにし、被害者である子供の保護を図ることが何よりも大事。守るべきは子供の最善の利益だ」と、早期通報などへの協力を呼びかけた。裁判では医学論争に発展することもあるといい、医学的な証拠や医師に対する保護者の言動が重要となる場合も多いと訴えた。 医師への協力を呼びかける宮地刑事部長 宮地氏は「通報がなければ捜査は始まらない。人の記憶も含めて、証拠は刻一刻と失われていく。虐待は繰り返され悪質化、重大結果の発生へとつながってしまう。軽い段階で早めに適切な対処をするのが重要だ」と、早期通報の重要性を強調。医師の中には、保護者を犯人扱いすることになると躊躇する声もあると指摘した上で、「故意の場合だけではなく、過失も犯罪の一つとして扱われる場合がある。また、当初、保護者が医師に事故だと説明し...