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RWD研究は「交絡との戦い」、限界に留意 - 康永秀生・東大臨床疫学・経済学教授に聞く◆Vol.3

インタビュー 2019年11月12日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――リアルワールドデータ研究も万能ではなく、使い方に注意点があると思います。 最大の問題点は、やはり交絡の問題。RWD研究は交絡との戦いです。RCTとの違いもまさにそこにあります。きちんと交絡調整を行った研究結果であれば、質の高いジャーナルに採用されます。明らかな交絡因子のデータが存在しないと、いくら統計解析を緻密にやっても交絡を調整できず、論文はリジェクトされてしまうでしょう。 得られるデータを最大限活用し、最適な統計手法を使う。なおかつ、どれぐらいのリミテーションがあるか、バイアスの程度などを的確に判断した上で、論文にもこれらを書く。こうしたお作法を踏まないと、科学論文にはなり得ません。 近く『超絶解説―医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本』(金原出版)を出版する予定だという。 ――リミテーションがあるので、「言えるのはここまで」と、きちんと明記する。 そうです。だから、ディスカッションを控えめにするという姿勢も必要です。DPCデータを用いて、RCTに対するネガティブデータが出たと言っても、その薬の効果を完全に否定したら、それは言い過ぎになってしまう。「リアルワールドデ...