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医療者の提案が伝わらない患者さんに出会った時は

オピニオン 2019年10月25日 (金)  志賀隆(国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長)

治療方針について患者さんと話している時などに突然、「あー終わったかもな」と感じることはないでしょうか。必要な治療などの提案内容を伝え、受け入れられないと、急に「医師―患者関係」が終了してしまったような感覚になる場合があります。日常的に診療していれば、一定の確率で遭遇してしまうようにも感じます。当たり前かもしれませんが、「患者さんの“心に刺さる”説明がしたい!」ですよね。私の場合、「心に刺さる」で一番覚えているのは、米フロリダ大学で勤務中に出会った患者さん、Johnに対するLisaの説明です。 あれは2009年の1月でした。私は外傷の研修でフロリダ大学の救急部門に1カ月の期間限定で研修していました。Jacksonvilleという軍港で有名なその街は、”危険な街”としても知られています。毎晩のように銃創や交通事故で多くの患者が運ばれてくるほどです。2019年の現在でも、平均すると1日当たり1件の発砲事件があるようです。 そんな危険地帯で夜勤をしていたある晩、銃創患者さんを手術室に送り出した後に、首と胸の痛みを訴える20代の男性患者さん、Johnを診察しました。飲酒運転で車が横転し、頸椎の椎...