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台風19号当日、山岳耐久レースのはずが……

オピニオン 2019年11月10日 (日)  神田橋宏治(医師、DB-SeeD社長)

さて18回目です。 今秋、東日本を立て続けに台風や大雨が襲い大きな爪痕を残しました。被災された皆様には謹んでお見舞い申し上げます。今回はトレイルランニングと学会の話です。 超大型の台風19号が来た10月12日土曜日の朝、僕は東京駅近くにある東京国際フォーラムにおりました。久々に日本血液学会に出席するためです。 僕が山岳医事務所を開いていることは以前、この連載でもお話しいたしました。もともとその日は日本山岳耐久レース(通称ハセツネカップ)にエントリーしておりました。このレースは30年近く続いている伝統ある山岳大会で、東京の武蔵五日市駅(あきる野市)を出発して周囲の山々72キロを24時間の制限時間以内で1周してくるという競技です。完走するためには、深夜に霧も出る狭く滑る山道を、ヘッドライトを頼りに通常の山歩きの1.5倍の速度に当たる平均時速3キロで動くことが要求されます。近年トレイルランニングの流行に伴い参加希望人数も増え、現在では2500人の枠が数分で埋まるほどの人気大会です。 さて山岳医としての僕の役割は、山を楽しむライト層の方々に安全に山から下りてこられるように力を尽くすことだと思っ...