1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 外国人患者は「めんどくさい?」、医療にも自己表現を

外国人患者は「めんどくさい?」、医療にも自己表現を

オピニオン 2019年11月17日 (日)  佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科医長兼国際室室長代理)

「君は、本当に“wall flower(壁の花)”みたいだな」 中学時代、お世話になった無精ひげの似合うイギリス人教師が私に言ってきた。まだ私が英国に移住して間もない頃のことだ。同級生が積極的に手を挙げて発言する中、それを教室の隅で静かに見守っている私を見て、彼は私が「壁にひっそりと生えている一凛の花」のようだと思ったようだ。まだ幼い私にとって、周りと調和していないような気分にさえなり、苦い心に刺さる一言だった。 渡英した当初はさまざまな日本と英国の違いを感じたが、特に「自己表現力」の違いには驚いた。英国では授業中に、間違っていようとも皆、積極的に手を挙げて発言するし、社会に出ても皆、自分の考えを周りに伝えようとはっきりと意見を述べる。意見がなければそこにいないものと同義で、その文化に慣れるまでは時に「悔しい思い」をすることも多かった。 多種多様な人々で構成する英国では、国民一人ひとりが明確に自分の意見を持つことが「民主主義を健全に発展させるための基盤」と考えられており、義務教育を通じて自分の意見を持ち、それを表現する能力が養われている。 逆に、日本の教育では表現力の育成を避けていたよ...