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乳腺外科医事件の経緯と教訓、刑事弁護人の立場から

オピニオン 2019年12月1日 (日)  吉峯耕平(田辺総合法律事務所)

【質問】 乳腺外科医が、手術後の患者にわいせつ行為を行ったとして、逮捕・起訴された事件がありました。麻酔の影響でせん妄状態だったとも言われており、そんなことで逮捕されてしまっては、外科医は仕事になりません。なぜ、そのようなことで逮捕されてしまったのでしょう。また、逮捕されないように、どのようなことに気をつければいいでしょうか。 【回答】 この事件では、乳腺外科医が患者にわいせつ行為を働いたとして逮捕・起訴されました。2019年2月20日、東京地方裁判所は無罪判決を言い渡しましたが、検察官は控訴し、最終的にどのような判断になるかは分かりません。逮捕・起訴の大きな根拠となったのは、患者の体に付着した医師の唾液のアミラーゼ反応、DNA鑑定でしたが、これは杜撰極まりないものでした。鑑定の信用性の疑問を示すための弁護人の立証活動の努力が、無罪判決を導いたと言えます。 医師が性犯罪やセクハラの嫌疑を受けると、最悪の場合、行政処分によって医師免許が取り消される事態まで考えられますので、極めて大きなリスクがあることに注意してください。診察への看護師立ち会いなど、密室で何をやっていたのかと疑われることの...