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今後の社会保障は「何を諦めるか」 - 渡辺英克・みずほ証券エクイティ調査部長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2019年12月17日 (火)  聞き手・まとめ:小川洋輔(m3.com編集部)

――人口減少が進む中、日本の医療は多くの課題を抱えています。 政策的な課題は、主に3点あります。一つ目は、医療費の支出は高齢化や医療技術の高度化によって増えていくけど、財源の調達は保険料や税金だから、支出と調達がリンクしないこと。二つ目は、勤労者が高齢者を支えるという構図に無理があるということ。三つ目は、社会保障費全体の予算が一般歳出の半分を占める中で、医療費を効果的にコントロールする手段がないこと。医療の現場レベルで見ると、現場の疲弊感は著しくて、補おうとするとマンパワーを増やさなくてはいけなくなる。そうすると医療費を膨らませる要因になります。 ――政府内では、全世代型社会保障検討会議が立ち上がり、医療費の自己負担の増加などが検討されていますが、日本医師会などの抵抗も根強く、給付と負担の議論がどのように決着するのか見えていません。 抽象的にしか言えませんが、本当に必要なところと、削っても大勢に影響がないもののメリハリをより強化するしかありません。ただ、大勢に影響がないと言っても、当事者からしたら大きな影響になるかもしれない。結局、医療の問題は国民の合意形成の問題になり、これからの時代...