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「失敗から学ぶ」から「レジリエンス」への転換を

レポート 2019年12月8日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

京都市で開催された第14回医療の質・安全学会学術集会で大会長を務めた、大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部教授の中島和江氏は11月30日、「レジリエンスの探求~つながり、共創、イノベーション」をテーマに大会長講演をした。 「なぜ失敗したのか」「失敗をなくす」という発想では、「失敗しないことが目的になる」――。現状では一般的な「失敗から学ぶ」という取り組みでは、根本原因の分析には限界が生じる上、守ることができない膨大な数のルールが積み上がることになりかねず、時に医療者の心が折れかねないと、中島氏は指摘。 「安全」とは、「さまざまな制約のある環境において、人々が状況に応じて適応的に対応し、意図したアウトカムを得ている一連の動的なプロセス」であると定義。従来の発想から転換し、さまざまな擾乱や制約がある医療では、柔軟に対応できるレジリエンスヘルスケアシステムこそが、医療の質・安全の向上には求められるとした。そのキーワードとして挙げたのが、「システム思考で洞察する」「必要な時に境界を越えて協同する」「新たなつながりや価値を創る」「つながりを科学する」――という4つのキーワードだ。 ...