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「医師」ではなく「医者」になって-大橋洋平・海南病院緩和ケア病棟非常勤医師に聞く◆Vol.2

インタビュー 2019年12月31日 (火)  大西裕康(m3.com編集部)

――256ページ、一気に読めました。文章を書く習慣はなかったとおっしゃいますが、才能が眠っていたんですね。 そう言っていただけると大変うれしいのですが、お褒めの言葉は身に余る光栄なもので、少しくすぐったい気持ちもあります。私は個人の携帯電話をもう持っていませんし、SNSも使わないので、私の目に見えていないだけ、私に届かないだけで、本当は「ひどい」というようなネガティブな感想もあるでしょう。けれど幸い、各方面から届く感想は比較的好いものが多いので、医者でありながら患者として闘う私の体験をまとめて、多くの方にお示しすることができて、本当に良かったと思っています。仮にもし、私の文章が多くの方にとって読みやすい形になっているとするなら、もしかしたら、「傾聴」を医療技術として磨き、緩和ケア病棟で患者さんの言葉一つ一つを大事にしてきたことが、関係しているかもしれません。 ――「医療技術」という点を強調しますね。 「話をただ聞いているだけでしょう」と言われることもあり、傾聴の持つ偉大な力に気が付かないのは、もったいないなあと思うことがあります。人間は話しながら考え、答えを見つける生き物です。例えば、...