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追悼の辞【ペシャワール会会長村上優氏】

レポート 2019年12月11日 (水)  m3.com編集部

2019年12月11日の中村哲医師の葬儀で読まれたペシャワール会会長村上優氏の「追悼の辞」全文を掲載します。 ▼葬儀の様子は『中村医師の葬儀にアフガン大使、医療関係者ら』を参照 ▼長男の中村健氏の挨拶は『父をご支援いただいた皆様へ』を参照 追悼の辞 中村哲先生。先生の御霊を前にお話しするなど考えもしませんでした。今の私には、先生の死を受け入れる余裕はありません。いくら力を振り絞っても、押し寄せる悲しみに 圧倒されるばかりです。ですがペシャワール会の会員を代表して言葉を述べよと多くの人々が私を後押ししています。中村先生、力をお与えください。 中村先生。先生がヒンズークッシュ山脈のティリッチミールに登頂された翌年の1979年、トレッキングに誘っていただきましたね。足を延ばしてカイバル峠を越えてヘラートまで、さらにバーミアンまでと計画していました。しかし旧ソ連軍によるアフガン侵攻で国境が閉鎖されたと聞いて、ヒンズークッシュ山脈の麓のギルギットに赴きました。山の中で満天の星を見ながら、命について語り明かしたのが長い交誼(こうぎ)の始まりでした。そのとき先生は、命の不平等について強い口調で語られ...