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病院に浸水「判断の遅れが致命傷に」

オピニオン 2020年1月19日 (日)  稲葉基高(ピースウィンズ・ジャパン医師)

2020年を迎え、気持ちも新たに医療機関の在り方や医師として果たすべき役割を考えている方も多いのではないでしょうか。ぜひこの機会に災害対策についても改めて考えてほしいと思います。2019年は日本各地で豪雨や台風災害が発生した一年でした。洪水による浸水被害は、多くの医療機関にとって他人事ではありません。私は2018年7月の西日本豪雨と2019年10月の台風19号の被災地へ入り、2病院、1施設で入院患者・入所者の全員避難の支援に当たりました。その経験から、浸水被害に備えて考えておくべき点を紹介します。 医療機関が浸水被害に遭った場合、直面する課題は主に3点あります。 全員避難を行うか否かの判断 搬送手段の確保 全員避難後の経営再建 避難の判断 患者の避難を余儀なくされた医療機関(PWJ提供) まず、なんと言っても避難をするという判断が必要です。大勢の患者の命に関わりますから、この判断を誤れば取り返しのつかないことになります。 「院長先生、残されている患者さん達はどうしますか?」「何とか今日中に全員出したい。出さなければ危ないと思っている」 西日本豪雨の支援に入った2018年7月8日、水陸両...