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ICTを活用し、離島に“専門医を派遣”◆Vol.1

スペシャル企画 2020年2月21日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

医師不足の中、働き方改革を進めつつ、患者の専門医志向にいかに応えるか――。この連立方程式を解くカギの一つが、ICT(情報通信技術)の利活用だ。 その実用化に向けて試行しているのが長崎大学。日本一、離島が多い長崎県にあって、さまざまな離島の基幹病院に、専門医を派遣するのは容易ではない。総合診療医らが各地の日常診療を担い、専門医が大学の医局からICTを活用して支援するという、「バーチャル専門外来」の臨床研究を2019年春から始めている。 スマートグラス越しに専門医がアドバイス 長崎市中心部から約100km離れた、約140の大小さまざまな島から成る五島列島。その中心となる福江島へは、長崎市から高速船で1時間30分弱、フェリーでは3時間以上かかる。福江島の基幹である五島中央病院(304床)内に設置された、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科離島・へき地医療学講座(離島医療研究所)に常駐するのが、助教の野中文陽氏。膠原病と糖尿病を専門とする卒後12年目の医師だ。月に数人程度、パーキンソン病の患者も担当する。専門外だが、患者の話を聞き、患者の手を取り、神経所見を取りながらの診察はスムーズだ。 一般的な...