1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 耳鼻科医師が下呂市の「減塩推進委員長」に◆Vol.2

耳鼻科医師が下呂市の「減塩推進委員長」に◆Vol.2

スペシャル企画 2020年3月20日 (金)  小川洋輔(m3.com編集部)

「顔を見るなり『また減塩の話か、あんた本当に医師なの』って言われちゃうんですよ」 大塚耳鼻咽喉科医院院長の大塚正議氏は「最近、市民の間ですっかり『減塩推進委員長』として定着してしまった」と笑う。 減塩推進に取り組む耳鼻咽喉科医の大塚氏 味付けの濃い食文化 海が遠く山に囲まれた下呂市周辺は古くから保存食の文化が根付いており、漬物、干物などの加工食品を食べることが多い。味噌や醤油が特産品で、名物料理と言えば朴葉味噌、甘露煮、甘酢漬け、笹寿司――、味が濃いものばかりが挙がる。 味付けの濃さは各家庭に浸透しており、流通が発達した今でも野菜の消費量が極端に少ないのも特徴だ。 当然、住民の塩分の摂取量は多く、健康状態や医療に影響を及ぼしている。 2012年度の市の調査によると、成人の64%は尿中塩分が目安とされる9グラムを超過。2013年度の調査では3歳児の83%が尿中塩分の基準値(男児4.0グラム、女児4.5グラム)を超えていた。結果として、脂質異常症、高尿酸、高血圧、脳血管疾患の治療を受ける市民の割合は軒並み県内トップクラスで、国保加入者の1人当たりの医療費は県内21市でトップだった。 山に囲...