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外科医から研究へ「こんな手術が必要あるのだろうか」-志摩市民病院・江角浩安氏(元国立がん研究センター東病院長)◆Vol.2

インタビュー 2020年2月15日 (土)  聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――改めてご経歴を教えていただけますでしょうか。 名古屋大学医学部を1972(昭和47)年に卒業し、最初は岐阜県にある東海中央病院で、外科医をやっていました。1975年の夏前から、国立がんセンターの研究所に行きました。 研究所に移った理由ですが、当時の外科でやっている手術は、けがのようにすぐ治るものを別にすれば胃がんが多かったです。だけど、CTも世界的に売り出されたばかりで撮影できるのは頭だけ、内視鏡もフィルムに写す胃カメラの時代ですから、進行がんしか分からない。どうしてもかなり大きくなってからしか、診断がつかないです。転移の状況も、開けてみて「あ、肝臓に行っていた」と分かるわけですね。だから手術をしても半分ぐらいの人が半年後には再発で帰ってくるわけです。 駆け出しの外科医としては、こんな手術が必要あるのだろうかと思いました。原理的にがんは細胞レベルで転移するのに、肉眼で見ながら切るというのはおかしいではないかと、私の学生時代の名大外科の教授で恩師の星川信院長に生意気な質問をしていました。そのうち星川先生に「君は、ちょっと研究をしてきた方がいい」と言われました。 アメリカに行ってこいと...