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ナショセン院長で感じた「このままでは日本の医療はつぶれる」-志摩市民病院・江角浩安氏(元国立がん研究センター東病院長)◆Vol.3

インタビュー 2020年2月22日 (土)  聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――ナショナルセンターの元病院長という視点からは志摩市民病院の現状をどのように見ていますか。 収支の点から言えば、赤字になるに決まっているんです。医療圏の特殊性、地域の事情は医療保険制度の単価の設定には入っていません。療養病棟や地域包括ケア病棟で急性期の治療をすると病院の負担が増えます。医療資源が豊富な地域では急性期病院との間を患者移動すれば良いのでしょうが、過疎地では患者や家族の利便性を考えればそのまま治療をします。介護保険ではむしろ過疎地域であるからと単価を下げられ、移動に時間がかかることなどは無視されています。ぽつんと一軒家にはがきを届けるのと、団地の郵便受けにはがきを配達するのが同じ値段であるのと一緒です。ぽつんと一軒家ほどではないにしても、住み慣れた街が安心して暮らせる幸せな街であり続けるためにその役割を果たす病院ですから。応分の努力をした上で、足りない分は、どこかで補てんせざるを得ないところですね。 東病院の時もそう思いましたけども、経営で一等大事なことは、収支のバランスではなくて、任務の明確化であると思います。自院が一体何をする病院なのかが明確になれば、おのずとどう投資を...