新型コロナウイルス、産業医として気付いた3つのこと
オピニオン
2020年2月4日 (火)
神田橋宏治(医師、DB-SeeD社長)
さて22回目です。 この原稿は2月3日に書いているのですが、この数週間の医学界の話題、社会の話題のかなりの部分を新型コロナウイルスの話が占めているように感じています。私のところにも産業医として契約しているクライアントの会社から、メールであるいは電話で次々と質問が来ました。駆け出し産業医の僕からはこれがどう見えているかを少し話させてください。 事故や病気のことを産業衛生の世界ではハザードという言葉でまとめます。今回で言うと新型ウイルスにかかって死ぬことや長期の入院をすることです。その次にリスクというものがあります。リスクは起き得る悪い事態とその事態が起きる確率を掛け合わせたものです。その確率すらはっきりしないものを不確実性と呼んだりします(ここは別の考え方もありますが、そこはおきます)。 リスクが同定されたらそれを評価します。その上で対策を取ります。対策には有効性やコストを含め、さまざまなものを考慮に入れなければいけません。対策を取ることが新たなリスクを生み出すことだってあり得ます。その上でどの対策を取るか、あるいは対策を一切取らずリスクをそのまま保有するというのも一つのマネジメントです...
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