1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか【押谷仁教授メッセージ】

新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか【押谷仁教授メッセージ】

オピニオン 2020年2月6日 (木)  m3.com編集部

東北大学の許諾を得て、WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局で感染症地域アドバイザーとして従事した経験を持つ、同大医学系研究科微生物学分野教授の押谷仁氏のメッセージを転載します。原文は2月4日付で東北大学大学院医学系研究科・医学部のホームページで公開されています。 (※小見出しはm3.com編集部で作成、挿入しています) 中国で出現した新しいコロナウイルス(2019-nCoV)の感染拡大が止まらない。徐々にこのウイルスの実態が明らかになってきている。まだわからないことも多く残されているが、これまでわかっていることからこのウイルスに対し日本や国際社会はどう対応したらいいのかを考えてみたい。 SARSと疫学的に大きな違い まず、原因ウイルスは中国の科学者によりいち早く同定され、遺伝子配列も公開されている。その結果、2003年に世界的流行を起こしたSARSコロナウイルス(SARS-CoV)と近縁のウイルスであることがわかっている。しかし、ウイルス学的に近縁のウイルスであることは疫学的特徴が同じということを意味するわけではない。むしろ疫学的には大きな違いが見えてきている。 2002年の11月...