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独居の高齢者が救急外来に、その時どうする?

オピニオン 2020年2月29日 (土)  志賀隆(国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長)

1月の寒い日でした。内科の後期研修医で午後の救急車当番をしているA先生のところに、加藤さん(仮名)という79歳の女性(既往に高血圧)が搬送されました。主訴は脱力感。頭痛や胸痛などの症状はなく、発熱もありませんでした。血圧は130/80mmhg、SpO2は98%(室内気)、呼吸数は14回/分でした。他の診察所見も問題ありませんでした。 脱水や電解質異常を疑い採血をすると、軽度の低ナトリウム血症とクレアチニンが上昇しており脱水が考えられました。一緒に働く研修医のB先生から「場合によっては入院した方が良い」と説明をしたところでした。 点滴を500mL行ったところで、加藤さんはご自身でお手洗いに行かれました。その際に、看護師に「点滴を抜いて歩いて家に帰りたい。もう元気になったんだよ」とおっしゃりました。 加藤さんは見当識もはっきりしています。研修医のB先生と加藤さんの社会状況をもう少し確認しました。すると 現在は独り暮らしである 自宅は病院から5kmの距離 独身で子供もいない 十分な年金を受け取っており自立した生活が可能 家族は九州にいるが10年以上連絡を取っていない お財布には500円のみあ...