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新型コロナウイルス感染症はどのように見つかっているのか

オピニオン 2020年3月4日 (水)  山藤栄一郎 (長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症学分野)、 和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学)

新型コロナウイルス感染症の患者の症状は、無症状から、発熱や上気道炎症状、さらには肺炎による呼吸困難と幅広い臨床像を呈する。患者の約8割は軽症であるため、疫学的なつながり(例:感染者との接触歴や流行地への訪問歴など)が不明なら、臨床現場で新型コロナウイルス感染症を早期に疑うことは困難である。 本稿では、これまでの我が国での全国各地における感染者の情報を基に、どのように新型コロナウイルス感染症が見つかっているかを紹介する。また、3回のシリーズとして、感染拡大を防ぐクラスター発生の早期特定や、その予防ならびに社会的介入について解説を行う。 これまでの感染者の事例から、2つの診断パターンに分けることができる。 1.疫学的なつながりで疑われて診断 2.臨床的に疑われて診断 1.疫学的なつながりで疑われて診断 今年の1月から2月の際は、問診の段階で「武漢に訪問したか?」「武漢からの旅行者と接触したか?」などのキーワードから新型コロナウイルス感染症であることを疑うことができた。その後は「中国への渡航歴」が加わり、最近では「新型コロナウイルス感染者との接触歴」や「感染者の利用した施設での行動」、「感染...