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新型コロナウイルス感染症クラスター(集団感染)対策の意義を知る

オピニオン 2020年3月5日 (木)  和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学)、山藤栄一郎(長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症学分野)

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためにクラスターと呼ばれる集団感染の早期特定とその広がりに基づいた介入が求められている。クラスター(cluster)は、群れや集団と訳される。 現在の国内の感染状況は、「感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模患者クラスター(集団)が把握されている状態(国立感染症研究所2020年2月27日)」である。そうした中で、小規模でも感染者のクラスターをできるだけ早く特定して、介入を行うことで感染拡大を最小限にしていく取り組みが今後継続して必要になるであろう。 積極的疫学調査とは ある感染患者が特定された後に、保健所がその届け出に基づいて積極的疫学調査を行う。調査では、患者の推定感染源や接触者ならびに臨床情報を収集する。さらに、濃厚接触者を探し出し、早めに健康観察や外出自粛の要請、関連する施設の休業やイベントの自粛要請などを行う。 地域で複数の感染例が見つかった場合に、共通の曝露源を後ろ向きに徹底的に探していくことで、さまざまな知見が得られる。患者の推定感染源となった場所としては、これまでの報道にもあるように、スポーツ施設、ライブ...