臨床症状より疫学的ヒントが診断への近道の場合も
オピニオン
2020年3月6日 (金)
山藤栄一郎(長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症学分野)、和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学)
新型コロナウイルス感染症の特徴の一つは、「多くの患者は他人へ感染させないが、一部の患者から多くの人に感染し、それがさらなる感染拡大を引き起こすこと」である。また、新型コロナウイルス感染症の臨床症状は、頭痛、嘔気、倦怠感、咳嗽、鼻汁、咽頭痛、下痢など多彩であり、非特異的である。 さらに、集団感染のきっかけとなったケースでは、臨床的に重症だったとは限らないことが分かり、さらに対策を難しくしている。つまり、比較的元気なうちに動き回って、感染を拡大していることがこれまでの状況から示されている。実際、患者の中には、発熱がなく、咽頭痛や倦怠感などの症状が出てから、ライブやスポーツジムに行ったりした事例が既にある。 医療機関で、新型コロナウイルス感染症を疑っても、診断が確定していない段階では、3つの対応が必要である。 1. 発症14日前から受診日までどこに行って何をしたのかを聞く。 2. 発症14日前から受診日まで同様の症状のある人が周囲にいないか確認する。 3. 外出しない、特に人が集まるような場所には絶対に行かないよう指導する。 1と2については、クラスターの特定につながる行動である。患者が診断...
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