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【フランス便り】Fluctuat nec mergitur たゆたえども、沈まず

オピニオン 2020年3月21日 (土)  奥田七峰子(日本医師会総合政策研究機構フランス駐在研究員)

1月25日、フランス国内で初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例が同時に3人報告されました。パリの中国人旅行者1人 、ボルドーの武漢からの帰国者の2人(3人とも回復後、退院)。 当初は順調に一桁台で抑えられていた感染者数も、アルザス地方での大きな宗教集会での集団発生により、クラスター発生。そこから全国に信者が持ち帰る形で一気に国内での蔓延期に入りました。3月15日には感染者数5423人、死者数127人となり、全国一斉休校、外出禁止、生活上必要不可欠な活動以外の一切の商業・文化・娯楽活動の閉鎖という厳しい結果を招き、翌々日の3月17日からはEUシェンゲン域国境が閉鎖され、日本との出入国も原則、できない事態にまでなっています。今や紛れもなくCOVID-19の流行中心地はヨーロッパとなってしまいました。 この2カ月間を遡って見ると、3月に入るまでは、「85%は軽症、12%が入院を必要とし、1~3%が死亡(ただし、高齢者か基礎疾患のあるリスク患者)」「全体の98%が回復、退院。人工呼吸器を使った重症患者でも退院後の後遺症はない」というメッセージが、繰り返しフランスの医療界や政府...