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~練習しても“本番=手術”できないと辛い~

オピニオン 2020年4月12日 (日)  北原大翔(メドスター ワシントン ホスピタル センター 心臓外科医)

前回は、不器用でも手術の理解やトレーニングをすることでなんとか心臓外科医をやっていけるよ、という話をしました。が、当たり前だけど残酷な話をしますと、トレーニングをどれだけしても、その人にはその人の限界があることもまた事実です。おそらく、僕がどれだけ練習しても、日本一手術のうまい心臓外科医になることはあり得ないでしょう、というか絶対に。だからと言って練習をしなくていいということではもちろんないです。たとえ100mを10秒で走れなくても、14秒なら13秒、13秒なら12秒を目指して練習を重ねていくことは大事で、心臓外科医の場合はそれが手術の結果として出てきます。ところがここに一つ問題があります。 練習をするにはモチベーションが必要です。すなわち、いくら練習が大事と言っても“本番”、結果を出す機会がないと練習を続けることは非常に難しいのです。なぜなら練習というのはたいてい辛いものだからです(練習が好き、というのはとてもうらましい才能の一つです)。心臓外科医にとっての“本番”とはすなわち“手術”ですが、例えば医学生や研修医がどれだけたくさん練習して技術が上達しても、彼らが実際の心臓手術を行うこ...