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山梨大学における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘い(第2報)

オピニオン 2020年4月3日 (金)  島田眞路(山梨大学学長)、荒神裕之(山梨大病院医療の質・安全管理部特任教授)

本稿のポイント 1.乳児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)PCR検査陽性の衝撃 2.8カ月の乳児のSARS-CoV-2感染を診断できた理由 3.濃厚接触が疑われる病院職員44人の就業制限とその影響 4.今後の見通しと謝辞 1.乳児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)PCR検査陽性の衝撃 「PCR検査の結果は陽性……」 大方の予想に反した結果に、山梨大学医学部附属病院(山梨大病院)の医療スタッフは、誰もが驚きを隠せなかった。3月31日のことだ。心肺停止状態で救急搬送された8カ月の乳児から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が検出された山梨大病院の症例は、SARS-CoV-2が我々の想像よりも、広く、そして根深くまん延していることを物語っている可能性がある。 今回の症例の8カ月の乳児には、感染を強く疑う事情はなかった。外出も買い物程度で、同居の家族にも感冒症状は全くなかった。ただ唯一、小児科医師をPCR検査に踏み切らせた決め手は、胸部CTの画像所見だった。山梨大病院の救急外来に到着し、蘇生後に撮像した胸部CT画像では、肺野に僅かな顆粒状の陰影を認めていた。心肺停...