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【フランス便り】COVID19に見られる高齢者施設における問題

オピニオン 2020年4月14日 (火)  奥田七峰子(日本医師会総合政策研究機構フランス駐在研究員)

はじめに フランスでは、3月上旬の高齢者施設を対象とする非常事態医療体制ブルー・プランの発令により、家族を含め外部者の施設への立ち入り禁止が適用された。個室隔離、自室から出ることの禁止、施設内でのさまざまな行動・活動の制限、家族の立ち会いなしでの最期、死後処置の禁止などの厳しい規制は、倫理的な問題へと発展。渦中に、フランソワ・オランド前大統領の父、ジョルジュ・オランド氏(享年96)死去。高齢者施設で、誰にも会えずに電話口で別れを告げたことをオランド前大統領自身が証言。 4月1日、CCNE(Conseil Consultatif National d'éthique)全国倫理諮問委員会は、改善勧告を出す。慢性的に現場にあった諸問題(人手不足・低予算)が、今回のCOVID19で顕著となった。 ブルー・プランとは 2003年8月、2週間続く猛暑により1万5000人の高齢者が死亡したフランスでは、非常事態時医療体制についての法律を必要とする声が高まった。バカンス真っ最中の8月に起こったこの惨事は、休暇中の「医師の不在」「医療機関のお休み」「緊急連絡先の不明確」など、自然災害と言うよりは人災とも...