ECMOや緊急、移植手術の日々

時期的にアメリカ在住の心臓外科医の恋愛についての記事を書くのは間違っている感があるとのことで、新型コロナウイルス感染症に関する話を書くことになりました。とはいえ自分の専門である心臓外科以外の知識は、非医療者とほとんど変わらない、あるいはそれ以下しか持ち合わせていないですし、なにより間違った情報を伝えるわけにはいかないので、そこら辺の話は他のちゃんとした人達に任せて、僕はこの１カ月で体験したワシントンD.C.の現状を簡単に書こうと思います。新型コロナウイルスに関する有益な情報は含まれていませんので、アメリカにいる一人の男が経験した１カ月はどのようなものだったのか、という感覚で読んでいただければ比較的スッと頭に入ってくると思います。 新型コロナウイルスの中国での感染拡大が報道された時、僕の働く病院のスタッフは「中国大変だね。ヒロは大丈夫かい？へへへ」とアジア人の僕をからかうように冗談を言っていました。患者からも微妙な顔で見られたり、その頃は「アジア人っていうだけで一括りにされてこんな差別を受けるなんて失礼しちゃうわね」と中国人の同僚と不満を打ち明けあったりしていました。平和な、というよりア...