避難所運営「感染症対策だけに固執、落とし穴にも」-稲葉基高・ピースウィンズ・ジャパン医師に聞く
インタビュー
2020年6月20日 (土)
聞き手・まとめ:小川洋輔(m3.com編集部)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第2波への懸念がくすぶる中、今年も豪雨・台風の季節を迎える。地震や津波が再び日本列島を襲う可能性もある。避難者を災害や感染症から守るにはどのようにすればよいのか。2018年の西日本豪雨や2019年の台風などで被災地支援に携わり、2020年5月にはCOVID-19の集団感染が発生した愛媛県内の病院にも支援に入ったNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」医師の稲葉基高氏に被災時の感染症対策について聞いた(2020年6月9日にオンラインでインタビュー)。 オンラインで取材に応じる稲葉氏 ――今年の梅雨入り後は避難所での感染症対策が大きな課題となりそうです。 大前提としてあるのは、避難所運営に感染症対策が求められるのは今回に始まったことではないということです。大勢の人が詰めかける避難所は、もともと感染症が流行りやすい環境です。1995年に阪神大震災が発生したのは冬だったので、インフルエンザの流行で、神戸市で300人以上が亡くなったという試算もあります。 そこにCOVID-19の問題が出現し、一般の方の不安は非常に強くなっています。ただでさえ不安な避難...
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