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「念のため」のCT~「本当に必要ですか?」

オピニオン 2020年8月2日 (日)  佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科医長兼国際室室長代理)

「先生はなぜCTを撮らなかったのですか?」 そう指摘したのはある病院の紹介先の呼吸器の先生。一呼吸おき、「肺炎の入院患者は基本、全例CTが必要です」ときっぱり言われた。 私は長年英国で診療をしてきたが、市中肺炎患者全例に対してCT検査を行っていたわけではなかったため、正直戸惑いがあった。その患者は単純写真で典型的な市中肺炎像を認めたため、臨床的に診断した。リスク評価的には中等症であり、高齢や独り暮らしであることを考慮し入院適応と考え紹介したのだ。結局その医師に言われるがまま、 CT検査を行った。 CTに対する「意識の違い」 私が以前勤務していた英国の病院では、「念のために」とCTを撮ると上級医から逆に、「なぜCTが必要だったのか」と問い質されることが少なくなかった。その検査の妥当性をエビデンスやガイドラインと照らし合わせて説明できないと、「患者に不利益だ」と叱られたものだ。臨床的に診断がついている場合はなおさらである。そのため、日本に帰国したばかりの私は「念のために」CT検査をオーダーすることに葛藤があった。 CTをたくさん撮るのは「CTの台数が多い」から(?) 現在日本ではCTとMR...