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平凡な心臓外科医の日本一への挑戦

オピニオン 2020年8月10日 (月)  北原大翔(メドスター ワシントン ホスピタル センター 心臓外科医)

前回は心臓外科医の基本手技の技術を競う大会があり、こういった大会が若手外科医にとって手術の練習を継続していくモチベーションになったり、ひいては外科医を評価する基準の一つになったりしたら面白いな、という話をしました。 「うん、若手外科医にとってすごく良い大会だな、うんうん、いいな、みんな頑張ってね、うん」と最初は人ごとのように、おじいちゃんが孫を見守るような視点で考えていたのですが、そういえば僕もまだ“若手”の区分に半分くらいは入るのではないか、という事実に気づきました。僕の中にわずかに残る外科医魂に「お前もまだまだ若手外科医なんだから、大会に出場しろよ」と背中を押されたのですが、過去に出場した大会で惨敗した苦い記憶を思い出し、挑戦を思いとどまりました。前回も言ったように各々の能力には限界が存在し、凡才がどれだけ努力をしても日本一の心臓外科医になることはできないのです。 ただ、それでおしまいだとちょっとつまらないな、と思うんです。やっぱりそこに大会があるなら出たいし、出るなら勝ちたいし、勝つならトップになりたいし、そうじゃないと面白くないんです。 そこで、日本一は目指したいけど凡才の自分...