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子宮頸がんワクチン報道名誉毀損訴訟、勝者は誰?

オピニオン 2020年8月9日 (日)  大西達夫・MLIP(エムリップ)経営法律事務所弁護士

【質問】m3.com「医療維新」でも度々取り上げていた子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関する「ねつ造」報道をめぐる名誉毀損訴訟ですが、勝訴した当事者の上訴が門前払いされるという珍しい経過をたどって終了したそうですね。法律的には何が問題となったのでしょうか。 医療分野の専門家による対社会的情報発信が盛んですが、気を付けるべき名誉毀損に関する法的知識を教えてください。 【解説】 Q.1 本件訴訟の事案の概要を教えてください。 A.1 月刊誌「Wedge」およびウェブマガジン「WEDGE Infinity」(本件雑誌等)に掲載された「研究者たちはいったい何に駆られたのか 子宮頸がんワクチン薬害研究班 崩れる根拠、暴かれた捏造」などと題する雑誌及びウェブ記事(本件記事)の記述により、厚生労働省科学研究費補助事業であった「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」(本件研究)の研究代表者である原告池田修一氏(国立大学法人信州大学医学部長兼副学長。以下、肩書は当時)の名誉が毀損されたとして、出版社株式会社ウェッジ、編集人(編集長)大江紀洋氏、執筆者村中璃...